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月曜日, 1月 20, 2014

ウォールフラワー 寝込みそう

ちょっと遅くなりましたがウォールフラワー観てきました。

比較的遅めに入場したので、座席を見上げてびっくり。おそらく9割以上が女性でした。
なにかおしゃれ系の雑誌やテレビで紹介されていたのでしょうか??
確かに色使いや音楽などは超絶おしゃれだし、なんと言っても音楽がとってもいいです。
でも、そんなおしゃれ系女子が高校生男子に共感できるのか疑問なんですけどね。



内容について本質的なところは、ほとんど言えない、非常に語るのが難しい作りです。
ですから、また周辺の事だけになってしまいます。

主人公は内気でどちらかと言えばいじめられ体質で、標的にならないように常に目立たないようにしている男の子です。
その主人公が高校生になって、また暗い毎日が始まっていたのですが、偶然学校の中のはぐれ物の仲間に出会い、高校生生活が変化していくという青春物という形式です。
題名のウォールフラワーというのは、パーティーなどの時に輪に入っていかず壁に張り付いて黙ってみている主人公の様な人を指すようです。



ポスターを見て分かるとおり、エマ・ワトソンがずるいぐらい美人。映画の中ではさらに美人に撮られています。
そしてもう一人の仲間のエズラ・ミラーという俳優さんは珍しい顔立ちでこれまた超イケメン。
主人公より脇役のほうがこれだけ目立った美男美女であるお陰で、主役の地味な役作りの大きな助けになっていると思います。

僕は原作についてまったく知らないので完全に油断をしていました。無防備なまま見に行ってしまったため、まったく予想をしていない展開を始めてしまいました。
徐々に明かされ、話が進むにつれ強調されていく核心について、どれだけ分かって見ているか人によってだいぶ違うでしょう。

この映画の終わり方は一見ハッピーエンドのように見えますが、僕にはその先の主人公の辛くて長い道のりが暗示されているように思えてなりません。

人には、助けようのない事、助けられようのない事ってあるものです。
一時的に暗雲の隙間から光が差し込んだとしても、それが自分のところまで届くと言うことはほぼありません。
しかしそれが届いてしまった時、悲劇が始まるんです。その光は届いたとしてもすぐに隙間は閉ざされ、青空を見上げる事はないものです。・・・ない人ともいるものです。
そう思えば期待をさせる光は、周囲を見渡す視界を広げ、自分の居場所以外にどれだけすばらしい物があるのかを見せ付ける、厄介なものだともいえます。
自分の世界と他の世界の差を知らなければ、悔やまれることもそれだけ少なくなるのにも拘わらず、人の親切心は、救われない者に幻想とその後の現実を見させてしまいます。
どんなに親切な人でも家族や仲間でも、最終的には離れてきます。最終的には自分の問題です。

単純な青春映画として見ると非常にキュンキュンくる映画です。機会があったらどうぞ。

金曜日, 12月 13, 2013

ゼロ・グラビティIMAX3D見ました。 すっごーい。

半年以上待ちましたよ。やっと見れました。
13日の金曜日の不吉な出来事はすっかり吹き飛ばしてくれました。



Youtubeでは予告編だけでなく何度も何度も映像が流れてきて、もう気になって気になって仕方なかったんです。
Warner Bros.のYoutubeチャンネルでいったい何本出たんでしょう。
待った甲斐がありました。

最初、予告編の冒頭でジョージクルーニのにやけた顔が横切っていくのを見て安っぽいのかと思ってしまったのですが、その続きで段々とただ事ではないなという感じになってきます。



ただ事ではないというのは、この映画の中の設定がということではなく、宇宙感です(宇宙観ではありません)。
ありえない状況でありながら、とても未来ではなく現代の宇宙の現場の感覚があるんです。
こう感じるのって宇宙好きだけなんでしょうか?
あの滅茶苦茶な回転運動ですが、映画的に大げさに描いているというのではなく、雰囲気は本当にあんな感じなんです。
ちょうどいいタイミングでこんな動画が出ていました。



このペンチの回転の雰囲気そのままですよね。
もちろん風景もすごいです。宇宙というか宇宙船軌道上の風景が。宇宙好きでいつもNASAやJAXAの動画を見ているので、予告編で出てくるのがスペースシャトルや衛星なので本当にそれっぽく見えるんです。
そして次から次に出てくる予告編映像だけですごい事になっていました。

そして実際に今日映画館で見てきたのがIMAX3Dです。もうとんでもないです。
そこにあるシャトルやISSやコンソールやその他全ての物の存在感が半端じゃないです。
サンドラブロックのすぐ近くに自分が実際にいるような感じです。
いつの間にかスクリーンで見ていると言うことをすっかり忘れていました。
NASA映像では3Dじゃありませんから、その実物感にもう興奮がやみません。
ケネディ宇宙センターで実際に現物のISSやシャトルを目の前にした時の感覚がそのまま蘇ってきます。



あとは、やはり無重力の表現方法なんでしょうか?ほぼNASA映像と同じです。
だから数箇所重力を感じてしまうカットが途中で出てきてしまうのですが、その部分だけが浮き上がってしまっているのは、その他の場面が本当に良く出来ているからだと思います。
他にも最大の突っ込みどころがあるんですが・・・、まあそんなのどうでも良くなります。



そして宇宙空間の透明度の表現がとんでもないです。真空なので遥か彼方の物でも霞む事がなく見えるというNASA映像と同じ感覚で物凄く遠くの物凄く小さく見える物を映し出してくるんです。
その小さい物がそのまま近くまで来て大惨事ってわけです。
予告編では見えていなかった暗くて広い宇宙をIMAX3Dで存分に見せてくれます。



なにかもう映画っていう感じじゃありません。

映像の事ばかり書いてしまうと、ネイチャー系の映画みたいに退屈なのかと勘違いされてしまいそうですが、予告編を見て分かるとおり中身は退屈なんてとんでもなく、ずっと必死な時間が続きます。

ここでサンドラブロックの演技の話になりますが、そういえばこれって演技だったんだよねと、後から気づくぐらいもう、その非常事態と一体化していて、すばらしい演技でしたなんて客観的に評価できるほど冷静には見ていられません。
だって当人は怖くて必死なんですよ物語の中では。その感覚と何の違和感もなく一体化してしまいます。
ほぼサンドラブロックの一人芝居なんで余計に一体になってしまうんでしょうね。
僕はサンドラブロック大好きなのでうれしかったです。
そしてSFとはかけ離れた存在のおちゃめなジョージクルーでこの役は正解でした。そういう存在だからこそSFっぽさが無くなってよかったと思います。

この映画なんと、91分しかないそうです。それにしては大満足で短い感じはまったくしませんし、少しネタばれ気味ですが、長い旅をする事になるのです。それが本当に長い旅だったと感じます。
その旅も映画の中の時間でほんの数時間程度だったりするんですけど。それでも本当に長い旅をした気になり、最近の3時間近い映画ばかりを見ている人にとっては、同じぐらいの時間見ていた気分になってしまうほど中身が濃いんです。
何で邦題に「ゼロ」を付けちゃったかなぁ。残念に思うのは見れば分かります。

今回、IMAX3Dで見ましたが、もしこれを普通の2Dで見たらどうだったかというと、かなり怪しいです。
そもそもあの小さい物はIMAXじゃなきゃ見えないはずです。
また、あの物体の存在感も3Dだったからじゃないかと思うんです。
そう考えると、これをDVDやBlu-rayで見ても駄目なんじゃないかと思うんです。

IMAX3Dでやっているうちにまた見に行かないと、あの感覚は見れないのかと思うと、2回目行きたくなってしまいます。
見たい方は今のうちにぜひどうぞ。

日曜日, 11月 03, 2013

マルコムX DVD見ました

一昨日「リンカーン」はDVDでちゃんと見直してからと書きましたがDVDはすでに出ているんですね。
でもその前に見たくなってしまったマルコムXです。
「42」の主人公と同じ年代にいて、まったく違う生き方をした人の話です。



思想的、宗教的に過激で濃い内容だと分かっていたので、どうしてもハードルが高くてずっと見ていませんでした。
「42」を見てどうしても、釈然としない気持ちで落ち着かなかったので、見るなら今しかないなと思ったんです。
この映画も実話ベースで実在の黒人活動家の生涯を描いたお話なのです。



本当に紆余曲折の人生なので、何をあらすじとしたらいいのか分からないのですが、「マルコムX」という人はすでに知っていてネタばれではないとすれば一言で言うなら、街のチンピラが有名な黒人解放運動の指導者になる話です。

この映画3時間以上あるんですが、まったく集中が切れることがありませんでした。古さもまったく感じません。
音楽やダンスや色使いなど冒頭からエンターテイメント性をちゃんと考えて作ってありますし、時代を前後取り混ぜてうまく作っているのもすごいですね。
もちろんデンゼル・ワシントンという俳優のすごさを見せ付けられたってところもあります。
しかしそんな事より、そもそもこの人の人生自体が普通じゃなく、映画の世界みたいなものなので、ハードボイルドからスリルとサスペンスにサクセスストーリー的なところまで、演出としては何でもできるめちゃくちゃな人生なんです。
まあ、ほんとうにものすごいものを見ました。
字幕と吹き替えで見たので6時間以上というかまる1日かかりました。もう1周英語で見る体力はありませんでした(笑)

で、感想はというと、これがまたコメントしにくいです。
結末は本当に無念で悔しくてしかたないのですが、一昨日の気持ちがすっきりして、釈然とすることができました。
この映画の中でもちゃんと「42」の主人公であるメジャーリーガーのジャッキー・ロビンソンが触れられています。そしてその存在に対して別の考え方をちゃんと示しています。そしてその別の考え自身が正しいのかどうかとう事すら最後に吹き飛ばしてしまっています。
それが僕にとって釈然といった理由の一つでもあります。

物事ってそんなに美しく解決できないんだと僕は思っています。
今の時代は偽善と欺瞞だらけです。でもそれは騙す方の問題というより、騙されると言うか流される大衆がいるから起きていると、自責しなければならない事を、改めて確認させられました。

このDVDを手に取るのは、なかなか難しいとは思いますが、何かのきっかけ・・・たとえば「42」を見てしっくりいかないとか、そういうことがあったら是非見てみてください。
何かの解決になるかもしれません。

金曜日, 11月 01, 2013

映画「42」見ました。地味にくる

題名を見て何かピンと来て、気になっていたので見てきました。
アメリカ公開が4月だったので11月でも年内って事でちゃんと記憶に残ってるものですね。
本日公開初日で見てきました。



4月といえば「リンカーン」を見ていたころです。あれは日本人が映画で一回見ただけで絶賛できるような内容ではなく、ちゃんと共感できるのは、相当英語が分かる人か歴史に非常に詳しい人だと思います。
だからあれの感想を言えるのはDVDが出てゆっくり見直してからだと思っています。
僕から見ればリンカーンを映画館で1回見たぐらいで感動したと言っている日本人はかなり怪しいと・・・。

脱線しましたが、今回見た映画「42」のほうも黒人差別問題の実話ベースの話です。



第二次大戦に勝利して、戦争から帰ってきた人たちで活気付いているなかで、マイナーおよびメジャーリーグの野球選手にはじめてのアフリカ系アメリカ人を起用して成功するまでのお話です。

主人公をはじめとして周りの人の葛藤や意識の変化によって乗り越えていくというとってもいい話です。
差別問題そのものについて書くと、いくらたくさん書いても言葉足らずになってしまうので、話をずらすのですが、この映画のキーワードである「やり返さない勇気」については僕なりの意見を持っています。

やり返さない事を貫き通して、最終的に成功に到達できる人というのは本当にごく一部のケースだけだという事です。
一般的には、やり返さない、または、やり返せないままでいるということは、本当に危険な状態に陥る場合がほとんどだと思うんです。
ただし、これが黒人差別問題についてであり、しかも強力なバックアップがあるという前提において「やり返さない勇気」が成立したのだと思います。
まさに選ばれたヒーローだけが成しえた事で、まねしちゃだめだというのが僕の持論です。
だからこそ痛快で映画になったわけですけどね。

でも映画としてみるとだいぶソフトに作ってありました。現実の心理状態はもっと壮絶だったろうと思うのです。
なんといっても老若男女、社会全体からの攻撃を受け止めるわけですから。でも、映画では見てるほうが耐えられなくなるでしょうから。
そして暴れたりできないわけで、どうしても地味にならざるをえないところを、うまく山場的なところを作ったりして、じわじわくるものになっていました。
説教くさくなくて、結構主人公や周りの人とかに感情移入できるんですよねぇ、これが。
一方で伝記ものってどうしても歴史を淡々と追いかけるだけで盛り上がりに欠けるところがありますから、この映画はよくできているんだと思います。
球団のオーナー(?)の役のハリソンフォードがなんだかいつもとだいぶ違う、すっかりお年寄りという役をやっていて、しかもそれが結構はまっていたのもよかったですね。


42番という番号の入ったシャツには、ちょっとした思いがあってタイトルに引っかかりを感じたのですが、やはりそれは書くのはやめておきましょう。もったいぶって(笑)

歴史や野球に詳しくなくてもちゃんと共感できる作品です。できれば映画館で、そうでなくてもDVDが出たらぜひ見る事をおすすめします。

水曜日, 10月 02, 2013

クロニクル 苦しかった

話題の映画「クロニクル」見てきました。かなり面白かったですが苦しかったです。
首都圏限定、2週間限定の劇場公開なのでほとんどの人が見れないでしょうね。




ストーリーは偶然超能力を身に付けてしまった高校生3人のいたずらが徐々にエスカレートしていきその結果どうなったかというお話です。



よくある超能力で正義の味方みたいな部分は全くないので、かなり重たい内容です。
映画の中では正直カメラ関連の設定か鼻につくところはあるのですが、無名のキャストにスタッフでありながらかなりよく出来ています。
どんどんと狂っていく様子にとても感情移入できました。

僕なりの解釈では強者と弱者の均衡が破れたとき人は冷静でいられるのかという問いかけのように感じました。
結局、弱者は弱者のまま永遠に理不尽な暴力を受け続ける事で、世の中は均衡を保っているのだと。
人の痛みを知る人はやさしくなれないのだと。

アメリカやヨーロッパではヒットしたらしいのですが、日本では役者が知らない人ばかりでエンターテイメント性にも欠けるので当たらないだろうと判断したんでしょうね。
上映期間が2週間だけというのはもったいない気がします。

まだ間に合いますので、ぜひ映画館へ。おすすめです。

月曜日, 9月 30, 2013

凶悪

ポスターがものすごく怖くて、映画「凶悪」を見てしまいました。
暴力描写が激しいので、見れない人は見ないほうがいいです。
僕も苦手なのですが。

20130930kyouaku.jpg

ストーリーは、凶悪犯で死刑囚の告白を基に雑誌記者が共犯者を追い込むという話です。
ポスターと予告編だけで、そのほかの事前情報は全く無しで見ましたが、あとで調べると、原作の小説は実際にあった事件を基にしているんですね。
でもそういう事を知らないで見ても十分にリアルです。



何が怖いって、よくある暴力描写って狂気を伴なって表現されるじゃないですか。
でもそうじゃなくて、至極冷静なんです。目的がハッキリしていて手段として冷静に実行してしかも楽しんでいるんです。
その姿を見せられるとぞーっとしてきます。ああ、これが商売なんだって。
これが演技なんだから役者ってすごいです。

この映画を宣伝するならたぶん暴力描写をとりあげるのが正攻法で予告編もそうなっているのですが、映画を実際に見ると、もっと怖いです。
あぁ、そっちかぁ、と落ち込んできます。
一つは家庭の問題。もう一つは善悪の問題です。
どちらについても、いろんな方向に対して追求していて一つではありません。
その矛先はこの映画を作っていること自体をそもそも否定している内容だったりするんです。

その中の一つについての僕の思いは、前に見たドキュメンタリー映画「死刑弁護人」を思い起こさせます。この弁護士の方には悪いとは思いますが、とても違和感を覚えました。
人間の生きる権利はどこにあるのか。それを思うと苦しくなってきます。
そしてそう思う自分のほうがよっぽど凶悪なのではないかと。

分別のつかない人は絶対に見て欲しくないし、誠実な人にもおすすめは出来ないのですが、自分を見返す為に見る価値はある映画だと思います。

日曜日, 8月 04, 2013

終の信託 死に至らない苦しみ

最近映画館でもDVDでも全く映画を見ていません。
久しぶりに借りてきたのがこれ。
同じような雰囲気に同じようなキャストの映画が立て続けに出ていた頃の一本。「終の信託(ついのしんたく)」です。
時期が悪かったですね。今頃見ました。



ちょっと予告編の作りも悪かったし、役者陣も好みじゃなかったしね。
でも話の内容だけに集中して見ると、かなり興味深い話になっていました。



見ていくとわかりますが、人が死ぬ姿を語っている部分が出てきます。言葉の選び方が真に迫っていました。

一言でいえば、尊厳死の話です。

でも、一般に言われる法律上で争われている尊厳死と、ほんとに人を尊重して死なせることとは、大きく隔たりがあります。

「生きていればこそ」なんて無責任な事を言う人たちがたくさんいます。
でもそれは声高に正義を振りかざしてくる暴力的な言い分だと昔から思っていました。

でもこれは重い病気の話だけではありません。
人は生きたいのではなくて、幸せになりたいはずです。
耐え難い苦しみから逃れられない人だって沢山います。生まれながらに苦痛を背負っている人だって沢山います。
そういう人たちが苦しみから解放されようとすることを、苦しみが理解できない人たちが、強引に押さえつけて拷問を続けているのが現在の世の中だろうと思っています。

昔は介錯人のいう考え方がありました。
農民や庶民と違って、武士に限られますが、切腹が認められる場合がったわけで、苦しまないように介錯人が止めを刺してあげるんですね。情けをかけるというのはそういうことです。

情け容赦の無い現在ではそんなことはまず無理です。

形式上の正義に基づいた親切や思いやりだけが良しとされます。
しかもこの正義は明文化されたものだけではありません。
万人の総意がつくりだす常識というあいまいなものであったりもします。
本当にそれは常識でしょうか?万人としてまとめた時の意見と、個人の中だけに留めている実は共通の意見というものとは、実は全く違うのではないでしょうか?
みんなが内心間違っていると思っていることでも、表に出ると正しいとしてしまう、そんな集団心理はないでしょうか?

だいぶ話がずれてしまいました。
もっと映画という目線での中身についての話は沢山あるんですけど、長くなるのでこれぐらいで。

終末医療についてどう考えるかだけでなく、もっと長い苦しみについてどう考えるか、身近な人たちに聞くのは、なかなかはばかれるけど、聞いてみたいことの一つを示してくれた話でした。
見てみてください。ぜひ感想を聞いてみたいです。

金曜日, 5月 31, 2013

映画 エンディングノート を思い出して

今月はここに書こうと思う映画が見れていなくて月末になってしまいました。
なので、半年以上前に見た作品について書いておきます。



この「エンディングノート」は去年10月ごろ再上映で映画館で見ました。すぐに書こうと思う気になれず、ずっと気持ちの整理がつくまで待っていたのですが、結局そういう事にはならず、いまだにずっとざわざわしたままです。

内容は、定年過ぎても働いていた熱血営業マンだった主人公が会社を辞めた直後の話です。末期がんの宣告を受けたのですが、何をするにも段取りにこだわってきた性格から、自分の死の段取りをしていく、その姿を追いかけ続けた、ドキュメンタリー作品です。

この作品、映像を撮っているドキュメンタリー監督は主人公の娘であるという事もあり、非常に生々しい内容になっています。
といっても、激しいとかではなく、当事者として近い位置で表情や言葉が映像に記録されているということです。

段取りというとおり、"死ぬまでの間にやりたいことリスト"というだけではなくて、死んだときに何をするかという段取り全てをノートに書き上げて指示するということなわけです。
映画で「死ぬまでにしたい10のこと」とかよくありますが、エンディングノートという言葉の意味はそういう事ではなくて、遺言状に近いものです。
遺言状では財産分与のことがほとんどなわけですが、そうではなくて、自分が動けなくなってからどういう風にするかとか、死んだ時の連絡先リストとか葬式の出し方とか、その後の話も法律上の問題に関係なく全て好きなように書いておくというもののようで、一般的に存在するもののようです。



この主人公は生きているうちに出来る死ぬまでの段取りは、すべて自分で済ませておこうという、なんとも段取り命の人なのがおもしろいという観点で作られています。
だから、そんなに重たい内容ではなく、普通の人にとっては見た後に落ち込んでしまってダメージが大きいというような部分を狙ったものではありません。

僕も見ていて全体としては楽しかったです。「ああ、このおじさんやってるやってる(笑)」って感じでした。
自分の母親と妻とが仲が悪いのをどうにかしてから死にたいというのがあって、苦労しているけどうまくいかないとか、そんな場面など、苦笑しながらおもしろいです。
そういう所がいやらしくないんです。難病ものとか、そういう系って、同情をあおって押し付けて泣かせるみたいなものばかりじゃないですか。
押し付け中毒の映画は見たくないんですよ。この映画は全く違っていて、おもしろおかしく見せてくれます。

ただ、僕なりの観点から見た感想としては、人と人とがどれだけ理解し合える・・・いや分かり合えないのかという人間の限界を見せつけられてしまったという感じもあります。

ドキュメンタリーなので、ネタばれがどうのということが無いので書いてしまいますが、人と人とはたとえ夫婦であっても、親子であっても、結局、死ぬ瞬間に至っても分かり合えないで終わるのだなぁ、とかなり強烈に印象付けられてしまいました。
特に夫婦の意識の離れ具合ははっきりと見て取ることが出来ます。
また監督の演出の本意なのか否かわかりませんが、終わりのコメントについても、僕なりに感じた主人公本人の思いと、全く違った感じで終わらせています。
その終わり方のおかげで娘であった監督も結局他人の事は思いやれないんだなと、痛切に感じさせる結果となっています。
もしかしたら、その様に感じたのは僕だけかもしれませんが。

この映画、残念ながらTSUTAYAには置いていないんですよねぇ。見返そうと思って検索したのですがありませんでした。
映画館で再上映されるか、DVDを買うしか見る方法はありません。DVD買って手元においておきたくは無いですよねぇ。
こういう映画だからこそレンタルで見た後は返却してしまいたいのに。。。。

何かの機会に見かけたら、ぜひどうぞ。これは一見の価値があります。

土曜日, 4月 27, 2013

アイアンマン3 IMAX3D見ました。苦悩。

ゴールデンウィーク突入してしまうとめちゃ込みになる事まちがいなしなので、初日というか先行公開の金曜日に早速見てきました。

これは、どうやってネタばれしないで感想をいうか難しすぎますね。

アイアンマン3 [Blu-ray]

内容の前の話として、久しぶりにIMAX3Dで見てきました。やはり字幕で3Dはきついですね。焦点調整が追いつきません。
っというか、普通は字幕って見ている時もあるけど、ほとんどちゃんと見ていなくて視界の片隅にあって、耳で聞いている台詞の補助として見えるのが理想なわけです。だからしゃべっている人と同じ距離に字幕の焦点が合っていないと見えないんですよね。
洋画が字幕無しで見れるようになりたいなぁ。
日本で字幕が3D映画需要の足を引っ張っていると僕は思います。
そういう意味ではディズニーアニメの吹き替え映画は3Dの最強コンテンツですね。
アニメでも下手なタレントではなくてちゃんとしたプロの声優で吹き替えて欲しいです。

・・・と僕の目の老化の話はここまでにして、アイアンマン3よかったです。
今回は3部作の最後と言う事で、アイアンマンファンの僕としては名残惜しい感じです。

ストーリーはシリーズ1、2、そして「アベンジャーズ」を見ていないと分かりません。
公式サイトにあるとおり、アベンジャーズから一年たった話です。

世界はアメリカがアイアンマン登場とアイアンマンスーツをアメリカ軍に1つ提供しているという事から、絶対的に強い立場になりそれによって世界の均衡を保っているという状態ではあるものの、
一方でアベンジャーズでは異世界から敵が攻めてくるという、絶対的な力の差を見せつけられてしまい、それにどうやって対抗すべきかという問題を抱えていました。
それによりアイアンマンだけに頼るという状態は許せないという政府の圧力が強くなっていました。
そんな中、アメリカ中を震撼させるテロ組織が登場し・・・。
という話です。

やっぱアメリカ一番なのねぇと卑屈になって見てしまう日本人もいるでしょうが、よーく見るとアメリカが一番の時代は終わったよという事を裏に隠しています。敵は世界を脅かす恐怖という意味合いのほかに、アメリカが一番と思っていても、時代が変わっているんだよという裏の意味があると解釈しました。

あと面白いのは、マーベルコミックというアメコミメーカーなのに西海岸側中心に話が展開しています。トニースタークの自宅がカリフォルニアにあるからなんですが、それ以外でも西海岸側によっているのか珍しく感じました。
普通は他のアメコミの話の中心はいつもマンハッタンのものすごい狭い地域に集中しているので、他のアメコミもよく見てみてください。あのアベンジャーズでさえ結局マンハッタンのとある交差点の一箇所に固まって戦っていましたからね(笑)

そしてアイアンマン3の中身のほうですが、世界を救うヒーローという感じではなく、苦悩を続ける話になっています。
普通ならその苦悩を乗り越えて、じゃじゃーんという事になるんですが、そうなるかどうかは見てみてください。

人が絶対に乗り越えられない壁を見せつけられてしまい、それでもそこから逃れることが出来ない時に、その解決の答えは見つかるのか見つからないのか。そもそも超えられないのか、逃げられないのか。
うううむ悩ましい。

そして、随所に出てくるのが、スーツがなくちゃどうにもらないないよという台詞。アイアンマンスーツにトニースタークだけでなく、そのほかの人も依存しすぎているという事をあらわしています。
科学者や技術者は、新しいものを作ることに精神的に依存しすぎているし、それを利用する人たちは科学技術の存在に依存しすぎています。そんな脆弱な世の中を利用し、裏では悪いやつがいっぱいのさばっているという構図は世の中をよく写し取っていると思います。


そんな暗い話ではありますが、やっぱりそこはアイアンマンシリーズです。爽快なところがちゃんとあります。
いくつも、えっ!そうくる!ってところが出てきて、見ているほうをしびれさせます。
そのほか、エンディングがかっこいいです。なんというんでしょうか、これぞアメコミって感じです。

そういう意味では今回は、予告編は見ないほうがいい気がします。うぉ!って感覚が予告編を見たおかげで薄くなってしまったところがいくつかありました。
映画見た後で予告編をどうぞ。



ファンなら見ないわけにはいきません。
ゴールデンウィークにどうぞ。

土曜日, 12月 22, 2012

レ・ミゼラブル見ました。帰ってこれません。

いやあ、ポスターを見たときから、見たいと思ってたんですけど、予告編を見てずっと待ってました。
レ・ミゼラブルやっと初日で見てきました。

20121221.jpg


だって題材といい役者といい、絶対良いに決まってるじゃないですか。
で、見終わって、役者とか監督とか有名だからどうのこうのって思ってた自分が馬鹿みたいに見えてしまいました。
ちょっと普通の大作と次元が違いましたね。一言でいうなら「すごい」。
形容できないほどすごかったんです。



レ・ミゼラブルの物語の内容はほとんど知りませんでした。もちろん名前を知らない訳はなく誰でも知っているのに。
しかも、これって英語の教科書の題材に出てきたと思うんです。全く中身を覚えていない。
教科書によってまるで面白くもないものとして僕の中で分類されちゃったわけです。
それなのに最後のほうでは完全に泣いていました。でも不覚とは思いません。
だって左のおばさんは号泣だったし、右のおじさんはハンカチをかばんから取り出していました。
それぐらいの作品です。

すごいって感じた要因のひとつとして、僕がミュージカルを見慣れていなかったからかもしれません。
話しているのが突然歌いだすとかいうのではなく、最初から最後までずっと、ずーっと歌っているんです。
158分あるんですよ。それほぼ全部歌ってるんです。それを聞いただけで壮絶でしょ?
歌いながら怒って、歌いながら泣いてるんです。もう感情振り回されまくります。
むちゃくちゃリアルです。歌っているのにリアルです。何なんでしょうこれって。他の映画の歌のシーンとは明らかに違って歌に感情が乗っているんです。
確かに最初は違和感あるんです。慣れていないから。でもどんどん引き込まれて最後にはもう(笑)

また内容の盛りだくさん具合も要因のひとつでしょう。これまで見てきた映画だったら、三部作ぐらいになる内容が一本に収まっています。
途中でちょっと気を張っているのが追いつかなくなって挫けてしまいそうになるぐらい疲れます。158分間まったく休ませてくれません。

そして出てくる登場人物の描写が細かい。パンフレットだと4人しか写っていませんが、もっとたくさん重要人物が出てきます。
それぞれについて丁寧に描いているので、それぞれの人の描写だけで自分に当てはめたり、誰かに当てはめたりして、いろいろな事が見えてきちゃうんですよね。
時代や風潮の描き方もそうです。もう今の時代に当てはめていろいろ感じてしまうんです。
ちょっとした描写にいちいち気持ちが反応してしまうので、辛くて物語の世界に入りたくないのに引きずり込まれてしまう感覚です。
この共感覚は社会と個人の両方の辛さを描いているからでしょうね。

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ここまで書きなぐってしまいましたが、改めてストーリーを書くと、
主人公ジャン・バルジャンは、妹の子供が飢え死にしそうなのを助けようとしてパンを1つ盗んでしまった事が原因で捕まり、監獄で長年強制労働させられていました。
やっと仮出所となったのですが、身分証明書に危険人物と記載され監視の為に定期的に出頭しなければならないという決まりがありました。
どこへ行っても危険人物に指定されているため働くことが出来ず、食べることも出来ず、その証明書を破って逃走してしまいます。
何年か後に、過去を隠した主人公は、ある市の市長になり、かつ、その市にある工場長になっていましが、そこへ監獄のときの看守が警官となってやってきて・・・という話です。

散々書いたので、蛇足ネタです。
出てくる歌は聞いたことがある歌が結構あります。詳しくないのでそれぞれの曲名はなんていうのかわからないのですが、ミュージカルのレ・ミゼラブルを知っている人にとっては当たり前の話なんでしょうね。
こんなにたくさんの曲が知られているなんて、すごいミュージカルなんですねぇ。
今まで知らずに聞いていた曲が、今度聞いたらそれだけで思い出してウルウルきてしまうかもしれません。

たとえばこんな風に。



誰でも聞いたことありますよね。



先ほど書いた通り、やぼな話なのですが出てくる役者は一級ぞろいです。
ヒュー・ジャックマンにラッセル・クロウにアン・ハサウェイにアマンダ・サイフリッドです。
これだけ出てたら相当儲けないと元が取れないでしょうけど、大当たりなんでしょうねぇ。
もちろんそれ以外の人も見事なのはいうまでもありません。

そして内容は見ていて、辛くて辛くて仕方ない中、後半に入って出てくるアマンダ・サイフリッドには、本当にときめいてしまいます。
設定的にそういう設定なのですが、それとは関係なくアマンダ萌えって感じです。この人の映画ぜんぜん見たことないので気になってきました。
世の中的にはきっとアン・ハサウェイに注目がいくでしょうね。賞とかもそっちへ行くかと。

非常に宗教的な内容でありながら、そういった壁を簡単に乗り越える迫力があります。それはやっぱり社会や個人の苦悩の描写だからだろうなぁと。

最後のシーンがあり、映画の本編が終わって、まったく無意識に拍手をしようとしていました。ギリギリ気が付いて手を止めましたが、もう手を打つ寸前まで動いていました。
ある意味で静かにエンドロールが永遠と流れていましたが、僕の頭の中では拍手喝采が沸き起こっていました。僕のというのではなく劇場全体で。きっとみんな同じだったんじゃないでしょうか。


いつものように予備知識だらけとは違って、中身の感想だけで、しかも中身には触れずにこれだけ書きたくなってしまう、ずごい映画です。
あまりの事に頭痛がひどいので、ここまでにして、よく寝て休もうと思います。
映画館で見る意味が十分にあります。行ってみれば分かります。

日曜日, 10月 28, 2012

アイアン・スカイ見ました。そこまでやっていいの?

またまただいぶ時間がたってしまったのですが、面白かったのでもう劇場公開は終わっていますが紹介します。
アイアン・スカイです。
実は10月は映画館で何本も見ているのですが、そんな中でB級SF映画としてとても面白かったんです。



基本的に風刺映画で、特にアメリカを批判する内容になっています。といってもまじめな話ではなく、コメディですので終始笑わせてもらいました。
さらに、この映画はフィンランド映画だというのも踏まえると、あぁ、なるほどとなります。
なぜならフィンランドはノキアがある国だからです。



ストーリはこんな感じです。
第二次大戦の敗戦から逃れたナチスの残党が、月の裏側に逃げ込み反撃のためにずっと兵器の開発をしていて巨大宇宙戦艦を開発中でした。
そんな時、アポロ以来再び月にやってきたアメリカがナチス見つかって、乗組員のほとんどは殺されてしまうのですが、乗組員の一人の黒人のモデルだけが捕虜になり、そのモデルの持っていたiPhoneがきっかけで急展開が始まるというお話です。

月の裏側にナチスが逃げ込んだって言うところからして突っ込みどころが満載なのですが、そのバカバカしさをそのまま映画の中でも笑っているのがまた面白いです。

アメリカに対する批判が直接的なところから間接的なところまで常に行われていて、わかるようでガジェットオタクでしか分からないのがiPhoneネタです。
ノキアというのフィンランドの通信機器メーカーで、一昔前までは世界のトップ企業だったわけです。その製品群の中で携帯電話は代表格で、Symbian OSと言ったら世界中のほとんどの携帯電話OSに採用されていました。
それがスマートフォンの時代になってすっかりiPhoneにやられてしまい、フィンランド人にとっては苦々しい思いが相当あると思います。
それを自虐ネタとしてiPhoneを映画の中核に持ってきたわけです。
Android陣営もありますが、まあ単独ではiPhoneが独走しているわけで、アメリカの象徴としてiPhoneを持ち出しています。
そして今のアメリカは、世界中を独裁支配しようとしていた、ナチスと変わらないじゃないかと言う事です。
映画のシーンの中でiPad持ってこれで世界を征服するんだウォーというところがあるのですが、暗闇で光るiPadのアップルマークが、なぜか鍵十字のシンボルに思えて仕方ないとても印象的なシーンになっています。


また、月に行ったのが科学者でも宇宙飛行士でもなくなんで黒人モデルなんだっていうところも、とってもデリケートな話なのですが思い切り批判的に描いています。
アメリカ大統領は女性で次期大統領選へ向けた、ざまさまな活動と連動していて、その描写たるや、いいのこれ?っていうところがたくさん出てきます。
後半批判の対象はアメリカだけにとどまらず、世界に向けられるのですが、そこで出てくるそれぞれの国の描き方が何ともまた滑稽です。
黒い笑いいっぱいでした。
そして、ここだけは他で見たことのない観点があります。ナチスといって人くくりにしているが本当にそれでいいのか?ナチスとして生まれ育ってきた普通の人たちも、一緒にしていいのかという投げかけです。
いわゆる洗脳教育を受けてきた人に罪はあるのか?そもそもそれは洗脳なのか?いろいろな疑問を投げかけています。
ここでナチスはアメリカが悪とするものの象徴であって実はナチスではないわけです。

そんな重い話だけでなく、低予算っていうところもぜひ楽しんでください。
なんとこの映画、最近流行のクラウドファンディングという方法で世界中の支援者から資金を集めたというのです。
その額一億円。すごい金額だと思いますが、映画制作費としてはとても少ないわけで、この低予算でここまで頑張ったんだと思ってみると、また月でその動きはないだろって突っ込み入れながらすごい迫力のCGだったりとか、よく頑張ったんだと暖かい目で見ることが出来ます。


もう劇場公開は終わっているのでDVDが日本で発売になったらぜひご覧ください。
輸入ものとしてはもう出ています。

日曜日, 9月 09, 2012

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い DVD見ました。

全く思っていたものと違っていました。

実は映画の設定といい出演者の構成といい、あざとすぎて触手が動かなかったんです。
そんな理由で映画館へは見に行かなかったのですが、見てみたらとてもいい映画でした。




難しいですよね。見る前に泣きの要素が完璧に整ってしまっていると引いちゃう人って多いと思うので、そういう点では企画的には損しちゃっているかなぁと。
でも、9・11の取り扱い方とか子役の使い方とかトムハンクスの出方とか、すべてにおいて想定される規定路線をくつがえしてくれます。
ようするにそういった事が邪魔にならないというか、そもそもそこじゃないといえば、そこではない話になっています。



と言う事で、あらすじを説明することが先入観となって邪魔になってしまうので、ここで書きません。

で、これを言うとほぼネタばれなのですがあえて書くと、人それぞれの苦痛はあって、しかも他人とは辛さを共有できない事が一番辛いんだよね、という事です。
この映画のどこに引っ掛かりを感じて、なぜ引っかかりを感じたかは、人それぞれみんな違って、しかもそれは他人と話をすべきことではない事だからこそ、心打たれてさまざまな感情を高ぶらせる、というのがこの映画です。
・・・なーんだ、どれも映画ってそういうものだよというかもしませんが、見れば意味がわかると思います。

僕の場合は途中から徐々に切なくなり次第にどんどん泣けてきました。でもそれを自分にも説明できずにいました。これも人それぞれだと思います。決して泣きの映画ではありません。

映画を見た後に感想を語り合う相手が欲しいと思うのが普通ですが、おそらく良かったねぇとかいっても本当に響いた『何か』は語り合えないのではないでしょうか。

目の前の人にも自分にも、共感を求められない事を誰でも持っている、って事をわかった上で、人と付き合っていきたいですね。

映画のつくりとしては説明的な部分がほとんどなく、意味がわからくておいて行かれてしまう部分がいくつかありました。でもそれはそのほうがいいと思います。
ここでは無理やりこじつけて考えるのは無粋な事です。この長いタイトルをいろいろ詮索する事すら無粋なのではないかと思います。

映画館で見ることが出来ずDVDとなったのですが、僕にとっては結果としてよかったと思います。泣いても恥ずかしくなかったから(笑)
一人で部屋でご覧ください。おすすめです。

土曜日, 8月 18, 2012

トータル・リコールみました。アクションすんごい。

実は先週見に行ったのですが、また書くのサボってました。

なんといっても22年前のシュワちゃんの出演した前作はとても良かったので、どうなるのかなと思いましたが期待は裏切られる事なく楽しめました。
でも、YouTubeの広告として時折流れていた高田純次さんのCMはちょっといただけない感じでしたね(笑)テレビCMも同じなのかな?



前作を見ていない方のために、ストーリーを書くと、しがない普通の労働者として働いている主人公が、娯楽として記憶売りますというちょっと怪しい商売をしているリコール社というお店に行って、スパイだったという記憶を植えつけてもらおうとします。
そうしたらなんと過去にスパイだったという記憶が見つかってしまい、店主が慌てただしたと思った次の瞬間、警察が踏み込んできて捕まりそうになるのですが、主人公は突然すごい身体能力で全員を倒してしまいます。自分でも驚いていながら追われる身になって逃げ回っていると・・・という話です。



設定として面白いのは、核戦争後地球上に住めるところがイギリスとオーストラリアしかなくなって、その二つの地域を地球の核を突き抜けて20分で繋ぐフリーフォールみたいな交通機関が出来てるっていうところ。
しかもイギリスは上流階級でオーストラリアは労働者層と別れていて労働者が毎日地球の裏側まで通勤しているってところが、なんか長距離通勤の日本の現状を風刺しているようで面白いです。
労働者層の住む町並みも、あのブレードランナー的アジアテイスト。
やはりどうしてもアメリカ人の発想だと裏社会はアジアになっちゃうんですよね。そもそも原作がPKデリックなので、そうなっているんでしょうけど。
あのクリントイーストウッドのグラン・トリノという映画の主人公も、良きアメリカがアジア人に侵食されていくという事をなげくお年寄りだったので、アジア人はそういうイメージなんでしょう。

内容はというと、とにかくアクション重視で、最初から最後までずっと走って飛んでの大忙し。
ここまでやってくれるとSF的要素はほとんど気にならなくなります。
SF的な車やガジェットに見る側が慣れてしまったのか、それとも作る側がうまくて自然に感じてしまうのか・・・両方なんでしょう。
その今じゃありえないけど自然な世界をうまく使ってアクションしていくところが良いのでそういう目線でよく見てください。

22年前もシュワちゃんですからアクションてんこ盛りなのですが、顔が割れたり鼻からスイカのSF的驚きとは全く違う方向性です。



ただし、やはりリメイクである事のデメリットとして、ある程度のストーリーの先が読めてしまうという事は逃れられません。
見に行く前に、前作の記憶は消しておいた方が、より楽しめると思います。トータルリコールだけにね(笑)

前作見た方も、見てない方もアクション好きならおすすめです。ぜひ劇場で。

金曜日, 8月 03, 2012

ダークナイト ライジング見ました。うぉおおぉ。

先週金曜日に先行上映で見てだいぶ時間が立ってしまいましたが、書き残しておかないと。

話の内容は、執念と執念の戦いみたいな感じで、大変でした。っといっても予告編とかでほとんど何も語られていないので、とても書きにくいです



前作の話を受けてこういう風にその後なったのね、というところから話がはじまります。
もうその段階で予告に出てこないので書きようが無いですね。
そもそもこの予告を見ていると、"Do you think he'll come back?" なわけです。

そして3部作の完結をしてくれます。これでよかったの?足りているの?と思ってしまうのですが、完結してくれないとバットマンがかわいそうです。そこは見てみてください。

もともと僕はバットマンシリーズがあまり好きではなく、見ていなかったんです。
去年の夏にDVDで「ダークナイト」を見て、バットマンでも面白いのがでたんだねと思ってたんです。くわしくは→こちらの日記で。
その続編ということで「ダークナイト ライジング」が出て、はじめてバットマンはずっと一連のシリーズじゃなくて、それぞれの監督ごとに話がリセットされているんだと知りました。
今回の作品はクリストファーノーラン監督のシリーズ3部作という事になっています。
「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」です。
それを知ってバットマン ビギンズのDVDをいまさら見て、なーるほどでした。
インセプションと同じでノーラン監督はひねくれ者なんですね。そういう心構えでみると面白さが十分に味わえます。
あと音楽というか効果音というかはインセプション風とおもったらもっと前からあの感じなんだなぁとわかりました。重みがあってすごいですよね。

��部作で1つの作品になっているので、とくに今回の作品は、「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」は必ず事前に見ていく必要があります。たぶん見ないと何のことだか全くわからないと思います。




ところで"This isn't a car!---!"は、やはりパロディーの出始めたようです。



こういうこっぱずかしいところは、ノーラン監督といえどもバットマンらしさを残していて好感が持てます。
あと徹底しているのは、バットマンは人を相手にしているときは、銃を使わず生身の体で殴り倒していくところです。最新マシンとのギャップが面白いです。

今回も、ほとんど何も書けませんでしたが、アメコミらしからぬ重みのある面白さの作品です。
アメージングスパイダーマンほどポップではないので、映画好きの人向けかもしれません。
劇場でぜひどうぞ。

日曜日, 6月 24, 2012

アメイジング・スパイダーマンIMAX3D見てきました。擬音で言うなら、『ヤキモキ』だね

あれヤキモキは擬音じゃないか?(笑)
話題のスパイダーマン新シリーズ見てきました。
世界最速先行上映でIMAX3Dときたら行かねばなりません。



なんといっても、マンハッタンのビルの間をびゅんびゅん飛んじゃうのですから、3Dにはもってこいでしょう。
空を飛行するのではなく、周りのビルの間を振り子のようにビュンってするのですから、距離感の比較対象があってそれはもう視覚効果絶大なのは出来上がる前から分かっているのですから。



さて実際に見てみると予想通りのと迫力映像でした。普通の3Dは奥行き感がすばらしいのですが、この映画は飛び出す方向の3Dも駆使しているので何度も避けてしまいました。
見に行くなら3Dで見るべきでしょう。

しかし予想違う作り方に驚かされました。なんとアメリカ高校生青春ドラマ系が土台なんです。ですから学校が舞台になるところがたくさん出てききます。
弱気でイケていない主人公と、いじめっ子の男子と、マドンナ役が出てくるんです。
そしてスケボーにバスケにロッカーのある廊下と、完全にフォーマットに従っています。

そして主人公ピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)と、マドンナというか恋人グウェン・ステイシー(エマ・ストーン)の恋の駆け引きを、ヤキモキしながら見守るというのが話の軸になっているんです。これは予想外でした。
なんか背中がむずがゆくなりながら見ている感じが、心地いい裏切りだったと思います。

監督さんはマーク・ウェブ。(500)日のサマーを撮った人で、今回がなんと映画2作目。才能ある人は違いますね。
そしてやっぱり恋愛ものなんですね。
どうしても前作シリーズと比べてしまうのですが、前作の設定としてピーターパーカーはもっと朴とつとしているにも関わらず、トビー・マグワイアの常人じゃない顔つきが蜘蛛というかハエ男の合成人間を彷彿とさせる作りだったのに対し、
今回の作品では、アメリカのテレビドラマの高校生青春ドラマからそのまま借りてきたような若くて青臭いピーターパーカーになっています。
役者はアンドリュー・ガーフィールド。顔つきが今風ですよね。



前作のマドンナは憧れの人で通称MJのメリー・ジェーン・ワトソン。もっと地味な女性の設定だった。
これに対して今作では、恋人のグウェン・ステイシーという美人で派手で積極的な設定。

役のエマ・ストーンといえば『ゾンビランド』や『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』よりも、この顔『小悪魔はなぜモテる?! 』のほうが印象が強いです。だから青春ドラマは適役なのかなぁと思います。



とっても面白かったのですが、本国アメリカではきっと厳しい状態なはずです。
なぜなら『アベンジャーズ』が大盛り上がりで大ヒットしすぎてしまって、その陰に隠れてしまう可能性が大きいんです。
だから必死なんでしょう。
日本で先行公開をしているのは、前作スパイダーマンは日本で大ヒットして、日本はアベンジャーズがまだ公開されていないし、そもそも日本ではアベンジャーズの中に出てくるヒーローを全く知らない人が多いという好条件を使って、先に盛り上げておいてから、その勢いで本国に持って行こうという分けです。

さらに面白いのはアンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンは今付き合っているって言うんです。これは話題づくりのためのやらせなんじゃないかと勘ぐってしまいます。



そしてバラエティ番組ではこんな事までやっています。



動画の後ろのほうでアンドリュー・ガーフィールドも出てきます。この動画を見ている限りとても付き合っているとは思えないですね。
それでも話題づくりに一生懸命になっているのだとすれば頭が下がります。
来週末の本国での公開日の動員数がどうなるのか注目すべきところですね。

日本版の大人の事情としてさらに興味深いのがエンディングの曲がなぜか日本人の曲に差し替えられているところです。エンドロールで突然、日本語になるので何じゃこれ!っていう事になります。これは最初から心構えをして聞かないことにしておけば何とも無いのではないかと思いますが突然だと驚きます。大人の事情は恐ろしいです。

ゴシップネタばかりになってしまいましたが、そういうのを抜きにして、十分に楽しい映画です。

派手な映画が見たいという人に、ぜひお勧めです。

土曜日, 6月 16, 2012

腑抜けども、悲しみの愛を見せろDVD見ました。辛すぎた。

この映画、視界には入っていたのですが、それほど注目はしていなかったんです。
でも洋画ばっかりじゃいけないなと思って、何の巡り会わせか見てしまいました。



暴力描写よりも辛いです。
しかもギャグ漫画映画として描こうとしているところが、さらに辛さを深めることになっています。
どんな苦しみでも家族という箱の中に閉じ込められてしまうと絶対に逃げ出す事ができない。しかも極悪な当人には悪意が全く無い。
その世界観が見事でした。
予告編では伝わらないのが残念です。



主人公澄伽(佐藤江梨子)のひとでなし加減が半端じゃありません。
さらに辛さを増しているのは、父や兄が最悪な人間だというところです。
他人から責められるところを持たず、それでいてひとでなしすぎます。
そのひとでなしから逃れることはできない家族という環境にいたからこそ、主人公の性格が熟成されていったであろう事は伝わってきます。
そして最後に妹が締めくくってくれます。
家族を持たずに育った兄嫁、待子(永作博美)との対比も見事です。劣悪な家庭環境にいるなら、家族など持たないほうがよっぽど真人間になれるという痛烈な皮肉です。それでも待子は家族がいるほうが幸せだと信じ続けている。とても悲しいです。

この映画、これが現実世界ではどの様になるかといえば、映画の様に人は簡単に死にません。死んで解決しないので真綿で絞められる首は、無限に閉められ続ける事になります。考えると怖いです。現実は怖いです。

見る前にこの映画への興味を削いでいた理由は、佐藤江梨子さん主演というのは当然ありました。名作に出てくるタイプではないので。
でもこれが見てみるとはまり役で、本当にそういう人間なんじゃないかと思うほどです。
後から調べるとこの映画で評価されている女優は永作博美さんなのですが、僕は佐藤江梨子さんだったからこれほどまで出来上がったと思います。演技がどうかは別にして(笑)
兄の永瀬正敏もすごかった。悪意が全くないままにひとでなしとして出来上がっている様子を見事に演じていました。怒りもなく人を突き飛ばす感じはぞっとしました。

僕の苦手なジャンルですが、邦画としてかなり見ごたえがあります。
見るなら、体調のいいときに見てください。

金曜日, 6月 08, 2012

幸せへのキセキ見ました。とても楽しい冒険映画でした。

「動物園買っちゃったよ」って軽いノリが面白そうで見てきました。
原題「We Bought a Zoo」は要所要所で合言葉のように出てきて嬉しくなってしまいます。



基本的にコメディー寄りです。ですから粋な台詞がたくさん出てきます。英語がちゃんと聞けたらもっと楽しめたのになぁ。
このアメリカ版予告編で出てくる女の子がお父さんに向けて言い放つところも傑作でした。

しかし邦題は最悪だし日本版予告編もあわせて、説教くさい「もううんざり」っていう印象を与えてしまっているのがとても残念です。
なので予告編はアメリカ版でご覧ください。



ストーリーは、主人公ベンジャミン(マット・デイモン)は妻を病気で亡くし一人で2人の子供を育てているが、日常に追われ息子はグレてしまい学校を退学、家の隣はヤンキーのたまり場、仕事の理不尽にも絶えられず辞めてしまった。
心機一転新天地でやり直そうと、郊外の広大な家を買うが、そこには休園になった動物園がついてきた。動物園の建て直しと家族の建て直しの為に、みんなで頑張るという話です。

この話で一番重要なのは、なぜ動物園を買ったのか?という事。動物園の建て直しなんて誰もがやりたがらない事を、動物園なんて何のゆかりもない町育ちのオッサンが財産なげうって取り組まなきゃならない理由はどこにも無いじゃないですか。
それに対する答えの開き直りがポイントなのです。だから「動物園買っちゃった」っていうタイトルなのです。
邦題ではこれに対する配慮が全く無いのが信じがたいミスだと思います。「幸せの○○」なんて、いっぱいありすぎて全く印象に残らないタイトルです。ダメダメです。

そしてもうひとつは家族の建て直しです。ひねくれてしまった息子と子供が理解できない父親との話だと思いきや、家族の中の母親が話の中心だったというからくりがあります。
こちらが泣かせどころだと判断して邦題や日本版予告編はゴリ押ししてしまったんでしょうね。

中身はいたって軽快で無理に泣かせようとはしていませんし、むしろコメディタッチの粋なところが前面に出ています。粋な言い回しがたくさん出てくるのは聞いていて分かるのですが、台詞がいっぱいなのでどうしても字幕を追ってしまって・・・。僕がもっと英語が分かっていたらと思います。もちろん字幕だけでも楽しめます。
特に主人公の娘ロージーちゃん(マギー・エリザベス・ジョーンズ)がちっちゃいのに気の利いたことをやりまくります。
これが面白い。久々に劇場内でどっと笑いが起きるのを体験しました。



頑張るお父さんの兄で会計士のダンカン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)とのやり取りも面白いですし、グレ息子ディランと動物園の飼育員の一員であるリリー(エル・ファニング)の恋事情も良いですね。
エル・ファニングは相変わらず可愛いです。



飼育員のまとめ役であるケリーがスカーレット・ヨハンソンなのは集客上の理由だったのだろうと思われるところが多々あります。明らかに不要なスカーレット・ヨハンソンがアップとか何シーンもありました。重要な役柄だったのに人気取り扱いを受けて本人にとっても残念でしたね。



最近の映画はこの人に対するセクシーイメージが固まりすぎてしまって良くないのですが、
この映画にはその要素は全く無いので、ぜひ「私がクマにキレた理由」を見てイメージをリセットしておくべきでしょう。



実話がベースですし地味になりがちな内容なのでマットデーモンだけでは安心できず万全の女優人をそろえたっていうところなんだと思います。

見終わった後、とても前向きな気持ちにさせてくれます。厄介ごとから逃げ出して、また厄介ごとをつかんでしまったのに、このお父さんは冒険だというんです。なんでも無難に済まそうとするダンカンと比べると破天荒でやりたい放題とも取れるのですがとてもまじめに取り組む誠実な心を併せ持つ事でどうしても応援したくなってしまい、あったかい気持ちになれました。

映画の中に出てくる台詞で最大の賞賛の言葉を送るとすれば、「きっと失敗すると思う。幸運を祈るよ」ってところです。
とっても楽しい良い映画でした。もちろんお勧めです。

日曜日, 5月 20, 2012

ファミリー・ツリー見ました。しみじみ苦笑し、しみじみ泣きました。

これも今年はじめから待っていた映画。公開初日に見に行きました。



なにも言うことはありません。予告を見ていただければ、見たくなったという雰囲気はわかると思います。
私には珍しく日本版予告でどうぞ。珍しく英語版より日本版の予告のほうが数段上の出来ばえです。
後で見てわかったのですが、イギリス版予告編からさらにブラッシュアップして構成されています。重要な部分が削除されていて、それが僕にとってはとても良い意味で落とし穴でした。
まんまとはまってしまい、心地よくやられたぁという気分です。



この映画のいいところは、「主人公に降りかかる災難」と「ハワイという楽園」のギャップの面白さでコメディー風にしているところです。
物語が非常に単純でわかりやすく、スリルもサスペンスもありません。それが無いことがとても効果的になっています。
楽園ハワイでも、現実の生活はつらいんだぜというジョージクルーニが、一大事に必死で走るはポロシャツに短パンにサンダル履きという、この抜けた感じが最高に良いです。
映画の中でも、普通と違うところは「大物の人物が大物に見えない」ところだと言っています。確かにそうなんだろうなとやけに説得力のある台詞でした。

ストーリーはすべて予告編で出てきますが、あらためて書き起こすと、主人公マット(ジョージ・クルーニー)はハワイで暮らす仕事人間の弁護士で、ある日、妻がボートの事故に遭い意識不明になってしまいます。2人の娘と久しぶりに対峙しなければならなくなり手を焼くのですが、長女から妻は浮気をしていたと知らされてショックを受けます。それだけでなく先祖から代々受け継いだ広大な土地を売らなければならないという問題を以前から抱え、まさに踏んだりけったりの状態から、どうやって行くのかという話です。

とても堅実で優秀であろう主人公が、家族という場所ではまるでダメ親父というところが基本的な設定です。
それでも人間性の良さにぐっと来るところがあります。英語版の予告編からあえて日本版でカットされている、長女の彼氏、そして妻の父である義父、この2人に対する主人公がとるあらゆる対応が、なんてこの人はいい人なんだろうとジーンとしてしまいます。
本筋とは関係ないのですが僕はとても心打たれました。

さてそもそも、オリジナルの英語タイトルは「The Descendants」。直訳すれば子孫です。
これに対して邦題は「ファミリーツリー」。最初は分かり難いからそうしたのかもしれませんが、ツリーという響きが日本人にとって樹木とつながって予告編でもハワイの大自然がでてくる。これが油断をさせるための罠になっているんですね。
そしてジョージクルーニの滑稽な姿も前面にだしています。ぜひこれに騙されてください。
日本版予告編であえて作ったであろう裏切り方を説明してしまうと、かなり勿体無いのでここで説明はしません。ぜひ英語版予告編は見ずに映画を見てください。



映画の見所というか、ぜひ堪能してほしいのは、やはりハワイらしさです。
ハワイで暮らしたことのある人も、観光地しか行った事しかない人も、ハワイ感あふれている事が伝わってくるのではないでしょうか。
ハワイのニオイっていうか雰囲気がよみがえってきます。
お花いっぱいの住宅街や地元のガランとしたビーチを歩いた事が無い方は、ぜひ次に行った時に散歩してみてください。

お勧めというより、ぜひ映画館で、もし逃してもDVDで必ずご覧ください。

土曜日, 5月 12, 2012

悪人 DVDみました もやもやします。

やっと見れました。映画館に見に行くのをためらってしまい、そのままになっていました。



これも予告編を見て、これはいいなぁと感じたのですが、ちょっと落ち込む映画のような気がして迷っているうちに、賞を取ったとかで世の中が盛り上がってしまい。
邦画の場合はそうなると見に行く気がしなくなってしまうんですよね。

この映画は「誰が、本当の”悪人”なのか」というキャッチフレーズになっているのですが、ちょっと誤解を招きそうな言葉選びです。
こんな事のなったのは誰が悪かったのか?ではなく、それぞれの人は、人として悪人なのかそうでないのか?どちらかであると一概に言えるのか?という内容の物語です。



ただし主題が本当にそこだったのか?というとそれも少し違ってくるように感じています。
この予告編の中に出てくる「あなたに本当に大切な人はいるのか?」という事が最初から最後まで貫かれています。
この言葉が語りとして出てくるときに、僕のもやもやは最大になりました。その答えを押し付けるのはやめて欲しいと。
できる事はやっています。できない事を責められても、責める側のストレスのはけぐちにしかならないのです。

見方は人それぞれです。僕の場合は樹木希林さん演ずるおばあさんも、柄本明さん演ずるお父さんも、罪深い人、すなわち悪人に見えています。もちろん深津絵里さん演ずる光代も。

と異論を唱えつつも、映画としてはすばらしいです。
出演者の演技はすばらしいく、1シーンずつ捕らえると映画の中に引き込む力感じます。
主役2人である妻夫木聡さんとか深津絵里とかもうたまんないって感じです。
ただし物語の中の登場人物としてはそういう思考にはたどり着かないなぁと思うところが随所にあり、その度にさめちゃうのですが。

結構注意して作られているなと思ったところは樹木希林の取り扱いです。最近の樹木希林は目立ちすぎてしまい、映画全体の調和を乱している事が多々あると思うのです。
その点この映画では強烈なキャラクターをできる限り抑えるように編集されています。そういうところに製作者のセンスを感じます。もっと控えめでもよかったぐらいですが。

欧州で賞をとる日本映画といえば残虐なものばかりという印象があるのですが、めずらじく残虐映画でないまともな作品です。
基本は押えておこうという意味でも、おすすめです。

裏切りのサーカス見ました 消化不良なのにおもしろかった。

見てからだいぶ経ってしまったのですが、これまたカッコよさそうな映画を書かないわけにはいきません。
裏切りのサーカスです。



この雰囲気がたまりません。
タイミングが合わず公開後3週間後に行ってきました。ゴールデンウィークということもあり、この地味な映画にほぼ満席で埋まっていました。



公式サイトに行くと「鑑賞前:ご一読下さい」というデカデカとした文字が出てきます。
これを読んで人物相関図を見ていなければ怪我するところでした。
何しろこの映画、登場人物が多い。そして全員諜報部員。顔と名前が一致していないと何がなんだかわけが分からなくなります。
そして説明が無い。ちょっとした後姿や小物とか風景とか後ろの声とかそういう一瞬の描写で物語の進行を説明しているので、字幕に追われているとすぐに置いてきぼりをくってしまいます。

それでもワクワク感のほうが勝っているのは、この全体の雰囲気の出し方だと思いますね。

で、なぜずっと感想を書けないでいたかと言えば、語れるほど十分に理解できていないという事なのです。
原作本を読んで、さらにDVDを何度か見ないと語れるまで到達しないです。
でもそこまでしたくなる魅力がある事だけは伝わったかと思います。

DVDが出たらリベンジです。