今月なにも書いていないので、ちょっと前に見たDVDのネタを書いておきます。
とっても気に入ってしまい最近のツイッターのアイコンはこの怪獣になっています。
「かいじゅうたちのいるところ」は、あの子供店長が日本語吹き替えをやったということだけ知っていたのですが、この映画を好きだというのをよく聞くので見てみました。
予告編を見たときは、出てくる怪獣が着ぐるみで古臭い子供向けなのかなと思っていましたが、評判を聞き見てみると、それは重要な個性というかそれがよい効果となっていることがとてもよく分かりました。
見ている人の心理の中を泳ぐように話が展開して行って、しかも思い当たる痛い心理がたくさん出てくるので、温かみのある映像でないと辛くなってくるんです。
ストーリは、主人公の男の子マックス君が家出をしてボートでたどり着いたところには怪獣たちがいて、食べられそうになったとき、僕はほかの国からきた王様で、なんだかもめている怪獣たちを幸せにしてあげるよとと言い出して一緒に暮らすという話です。
怪獣たちの中にリーダー的な存在であるキャロルは、みんなが仲良くたのしく暮らせることを誰よりも願っているのにも関わらず、望みが強いあまりそれがうまくいかないとかんしゃくを起こしてしまい、強い望みは自分の独りよがりなのだということを気付いていながら感情が優先されてしまうという、なんとも人間くさい存在です。
なんとか事を丸く治めようとする怪獣とか、そういう仲間の関係がいやで一人になろうとする怪獣とか、そのほか怪獣キャラクターの性格付けとか仲間の中での立ち位置というのもしっかりと特徴付けられていて、現実社会の縮小版になっています。
とても興味深いのは悪役がいないことです。みんなそれぞれに悪気はなく、最初は楽しくやっていることが徐々にこじれていって対立になる。
そしてまた楽しい遊びを始めようというのが、どろ団子投げで結局それって戦争だったりして。またリーダーシップっていったい何なのか、という問題を突きつけていたり、ようするに人間社会をよりよく暮らすためには何を気遣っていけば良いのか、いくら気遣っても完璧には対応できない、などなど社会に中にある人の心理の問題を取り上げている作品だなぁと僕は感じ取りました。
見ている人の心理に問いかける作品なので人それぞれこの作品を見て感じることはもちろん違うと思いますが。
この作品には原作があって、世界で何千万部も売れた絵本だそうです。後から調べて見つけたのがこちらの映像。
原作の絵本では話の骨組みしかなく、話の本題は読み聞かせてあげる大人が肉付けをしてあげるもののようです。
そういう意味では、この映画は絵本を元に、読み聞かせをしている中で、映画化スタッフが本題を肉付けしたものと理解することができます。
ただ、その読み聞かせをする対象が子供ではなく大人であったことが、映画宣伝でうまく伝えられていなかったみたいです。日本語吹き替えとかで子供店長使ってしまったのは大失敗でしょう。DVDでも絶対日本語吹き替え版は見ちゃだめです(爆)。
映画の映像的には、最初にも書きましたが基本は着ぐるみでCGが前面に出ていないのがとても効果的です。そしてこの怪獣たちが、キモ怖い(笑)。これを子供が見たら怖くて泣きますよ。大人が見ればその怖さは人間が持っている相手に対する恐怖心を表現してるとわかります。あと見た目以外の演技としての怪獣の怖さは、自分が相手に持つ恐怖心と、逆に自分が気付かないうちに相手に与える恐怖心というなかなか深い意味をこめているように感じます。とても印象的なマックス君と髪の長い女性キャラ怪獣のシーンがあるので注目してみてください。
一般的には心癒されるファンタジー的な紹介がされているのでしょうけど、実際の内容は人間が社会を築いていく中で直面する心理的問題をみせて、世界がうまくやっていけるかどうかは個人の心理の中にゆだねられているという、考えされられる作品でした。
立ち止まって自分を振り返りたい人に、ぜひお勧めです。
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