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日曜日, 11月 03, 2013

マルコムX DVD見ました

一昨日「リンカーン」はDVDでちゃんと見直してからと書きましたがDVDはすでに出ているんですね。
でもその前に見たくなってしまったマルコムXです。
「42」の主人公と同じ年代にいて、まったく違う生き方をした人の話です。



思想的、宗教的に過激で濃い内容だと分かっていたので、どうしてもハードルが高くてずっと見ていませんでした。
「42」を見てどうしても、釈然としない気持ちで落ち着かなかったので、見るなら今しかないなと思ったんです。
この映画も実話ベースで実在の黒人活動家の生涯を描いたお話なのです。



本当に紆余曲折の人生なので、何をあらすじとしたらいいのか分からないのですが、「マルコムX」という人はすでに知っていてネタばれではないとすれば一言で言うなら、街のチンピラが有名な黒人解放運動の指導者になる話です。

この映画3時間以上あるんですが、まったく集中が切れることがありませんでした。古さもまったく感じません。
音楽やダンスや色使いなど冒頭からエンターテイメント性をちゃんと考えて作ってありますし、時代を前後取り混ぜてうまく作っているのもすごいですね。
もちろんデンゼル・ワシントンという俳優のすごさを見せ付けられたってところもあります。
しかしそんな事より、そもそもこの人の人生自体が普通じゃなく、映画の世界みたいなものなので、ハードボイルドからスリルとサスペンスにサクセスストーリー的なところまで、演出としては何でもできるめちゃくちゃな人生なんです。
まあ、ほんとうにものすごいものを見ました。
字幕と吹き替えで見たので6時間以上というかまる1日かかりました。もう1周英語で見る体力はありませんでした(笑)

で、感想はというと、これがまたコメントしにくいです。
結末は本当に無念で悔しくてしかたないのですが、一昨日の気持ちがすっきりして、釈然とすることができました。
この映画の中でもちゃんと「42」の主人公であるメジャーリーガーのジャッキー・ロビンソンが触れられています。そしてその存在に対して別の考え方をちゃんと示しています。そしてその別の考え自身が正しいのかどうかとう事すら最後に吹き飛ばしてしまっています。
それが僕にとって釈然といった理由の一つでもあります。

物事ってそんなに美しく解決できないんだと僕は思っています。
今の時代は偽善と欺瞞だらけです。でもそれは騙す方の問題というより、騙されると言うか流される大衆がいるから起きていると、自責しなければならない事を、改めて確認させられました。

このDVDを手に取るのは、なかなか難しいとは思いますが、何かのきっかけ・・・たとえば「42」を見てしっくりいかないとか、そういうことがあったら是非見てみてください。
何かの解決になるかもしれません。

金曜日, 11月 01, 2013

映画「42」見ました。地味にくる

題名を見て何かピンと来て、気になっていたので見てきました。
アメリカ公開が4月だったので11月でも年内って事でちゃんと記憶に残ってるものですね。
本日公開初日で見てきました。



4月といえば「リンカーン」を見ていたころです。あれは日本人が映画で一回見ただけで絶賛できるような内容ではなく、ちゃんと共感できるのは、相当英語が分かる人か歴史に非常に詳しい人だと思います。
だからあれの感想を言えるのはDVDが出てゆっくり見直してからだと思っています。
僕から見ればリンカーンを映画館で1回見たぐらいで感動したと言っている日本人はかなり怪しいと・・・。

脱線しましたが、今回見た映画「42」のほうも黒人差別問題の実話ベースの話です。



第二次大戦に勝利して、戦争から帰ってきた人たちで活気付いているなかで、マイナーおよびメジャーリーグの野球選手にはじめてのアフリカ系アメリカ人を起用して成功するまでのお話です。

主人公をはじめとして周りの人の葛藤や意識の変化によって乗り越えていくというとってもいい話です。
差別問題そのものについて書くと、いくらたくさん書いても言葉足らずになってしまうので、話をずらすのですが、この映画のキーワードである「やり返さない勇気」については僕なりの意見を持っています。

やり返さない事を貫き通して、最終的に成功に到達できる人というのは本当にごく一部のケースだけだという事です。
一般的には、やり返さない、または、やり返せないままでいるということは、本当に危険な状態に陥る場合がほとんどだと思うんです。
ただし、これが黒人差別問題についてであり、しかも強力なバックアップがあるという前提において「やり返さない勇気」が成立したのだと思います。
まさに選ばれたヒーローだけが成しえた事で、まねしちゃだめだというのが僕の持論です。
だからこそ痛快で映画になったわけですけどね。

でも映画としてみるとだいぶソフトに作ってありました。現実の心理状態はもっと壮絶だったろうと思うのです。
なんといっても老若男女、社会全体からの攻撃を受け止めるわけですから。でも、映画では見てるほうが耐えられなくなるでしょうから。
そして暴れたりできないわけで、どうしても地味にならざるをえないところを、うまく山場的なところを作ったりして、じわじわくるものになっていました。
説教くさくなくて、結構主人公や周りの人とかに感情移入できるんですよねぇ、これが。
一方で伝記ものってどうしても歴史を淡々と追いかけるだけで盛り上がりに欠けるところがありますから、この映画はよくできているんだと思います。
球団のオーナー(?)の役のハリソンフォードがなんだかいつもとだいぶ違う、すっかりお年寄りという役をやっていて、しかもそれが結構はまっていたのもよかったですね。


42番という番号の入ったシャツには、ちょっとした思いがあってタイトルに引っかかりを感じたのですが、やはりそれは書くのはやめておきましょう。もったいぶって(笑)

歴史や野球に詳しくなくてもちゃんと共感できる作品です。できれば映画館で、そうでなくてもDVDが出たらぜひ見る事をおすすめします。