またまただいぶ時間がたってしまったのですが、面白かったのでもう劇場公開は終わっていますが紹介します。
アイアン・スカイです。
実は10月は映画館で何本も見ているのですが、そんな中でB級SF映画としてとても面白かったんです。
基本的に風刺映画で、特にアメリカを批判する内容になっています。といってもまじめな話ではなく、コメディですので終始笑わせてもらいました。
さらに、この映画はフィンランド映画だというのも踏まえると、あぁ、なるほどとなります。
なぜならフィンランドはノキアがある国だからです。
ストーリはこんな感じです。
第二次大戦の敗戦から逃れたナチスの残党が、月の裏側に逃げ込み反撃のためにずっと兵器の開発をしていて巨大宇宙戦艦を開発中でした。
そんな時、アポロ以来再び月にやってきたアメリカがナチス見つかって、乗組員のほとんどは殺されてしまうのですが、乗組員の一人の黒人のモデルだけが捕虜になり、そのモデルの持っていたiPhoneがきっかけで急展開が始まるというお話です。
月の裏側にナチスが逃げ込んだって言うところからして突っ込みどころが満載なのですが、そのバカバカしさをそのまま映画の中でも笑っているのがまた面白いです。
アメリカに対する批判が直接的なところから間接的なところまで常に行われていて、わかるようでガジェットオタクでしか分からないのがiPhoneネタです。
ノキアというのフィンランドの通信機器メーカーで、一昔前までは世界のトップ企業だったわけです。その製品群の中で携帯電話は代表格で、Symbian OSと言ったら世界中のほとんどの携帯電話OSに採用されていました。
それがスマートフォンの時代になってすっかりiPhoneにやられてしまい、フィンランド人にとっては苦々しい思いが相当あると思います。
それを自虐ネタとしてiPhoneを映画の中核に持ってきたわけです。
Android陣営もありますが、まあ単独ではiPhoneが独走しているわけで、アメリカの象徴としてiPhoneを持ち出しています。
そして今のアメリカは、世界中を独裁支配しようとしていた、ナチスと変わらないじゃないかと言う事です。
映画のシーンの中でiPad持ってこれで世界を征服するんだウォーというところがあるのですが、暗闇で光るiPadのアップルマークが、なぜか鍵十字のシンボルに思えて仕方ないとても印象的なシーンになっています。
また、月に行ったのが科学者でも宇宙飛行士でもなくなんで黒人モデルなんだっていうところも、とってもデリケートな話なのですが思い切り批判的に描いています。
アメリカ大統領は女性で次期大統領選へ向けた、ざまさまな活動と連動していて、その描写たるや、いいのこれ?っていうところがたくさん出てきます。
後半批判の対象はアメリカだけにとどまらず、世界に向けられるのですが、そこで出てくるそれぞれの国の描き方が何ともまた滑稽です。
黒い笑いいっぱいでした。
そして、ここだけは他で見たことのない観点があります。ナチスといって人くくりにしているが本当にそれでいいのか?ナチスとして生まれ育ってきた普通の人たちも、一緒にしていいのかという投げかけです。
いわゆる洗脳教育を受けてきた人に罪はあるのか?そもそもそれは洗脳なのか?いろいろな疑問を投げかけています。
ここでナチスはアメリカが悪とするものの象徴であって実はナチスではないわけです。
そんな重い話だけでなく、低予算っていうところもぜひ楽しんでください。
なんとこの映画、最近流行のクラウドファンディングという方法で世界中の支援者から資金を集めたというのです。
その額一億円。すごい金額だと思いますが、映画制作費としてはとても少ないわけで、この低予算でここまで頑張ったんだと思ってみると、また月でその動きはないだろって突っ込み入れながらすごい迫力のCGだったりとか、よく頑張ったんだと暖かい目で見ることが出来ます。
もう劇場公開は終わっているのでDVDが日本で発売になったらぜひご覧ください。
輸入ものとしてはもう出ています。